1.技術変化の性質

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インターネットの特性


  インターネットとは、広義にはIP(Internet Protocol)TCP(Transmission Control Protocol)という通信の取り決め(プロトコル)に基づいたネットワークのことである。TCP/IPに従ったコンピュータ・ネットワークでは、端末から情報が発信されるとき一連のデータの流れはパケットと呼ばれる単位に分割され、各パケットには行き先を表すアドレスが付けられる。TCP/IPベースのネットワークは、通常、職場や学校といった小さな範囲のネットワークが相互に連結されてさらに大きなネットワークを形成する構造になっているのであるが、小ネットワークにはそれぞれ門番に相当するルーターと呼ばれる機器があり、それが流れてくるパケットを見て、自分の管理するネットワークの中に行くべきものか外に行くべきものかを判断してパケットを仕分ける。各パケットはルーターにたらいまわしにされながら、自分の行くべき場所にたどりつくのである。

  この方式の特性は、第1に、旧来のネットワークのように中央にすべてを制御するホスト・コンピュータがあるわけではなく、端末ひとつひとつが自律しており、ネットワーク全体をコントロールする中心がないことである。これを自律分散という。第2に、機器やソフトウェアの種類を問わず、TCP/IPに基づいていれば誰でも接続できるオープン性があることである。第3に、インターネットに流れる無数のパケットには優先順位はないため、特定の場所にデータが集中して流れると届くのが遅れたり、データが消えることもありうる。通信品質(QoS:Quality of Serviceと呼ばれる)は保証されないのである。このような方式は、保証はしないが、最善をつくすという意味でベスト・エフォートと呼ばれる。第4に、中心となるものがないので、ネットワークに接続されている端末がいろいろな組み合わせで自由に双方向の通信をおこなうことができる。ただしベスト・エフォートであるから電話や対戦ゲームのようにリアルタイムでやりとりする同時双方向性は必ずしも確保されない。第5に、IPは本質的に外部からの侵入などに対するセキュリティに弱い構造になっている。そこで、暗号を使い第三者に読み取れないようにするなどアプリケーション・ソフトウェアのレベルでセキュリティを高めることがおこなわれている。第6に、音声、映像もデジタル・データにしてしまえばIPを使って分け隔てなく運ぶことができるので、インターネットは電話や放送といった従来異なると思われていた分野も包み込みつつある。これをコンバージェンス(Convergence)という。インターネットが進化し、QoSや後述のローカル・アクセスの問題が解決されれば、電話会社や放送業者という業種は情報産業に飲み込まれてしまうかもしれない。[インターネットの特性について解説は村井1995がコンパクトにまとまっている。]

  上記は、「TCP/IPベースのネットワーク」という広義のインターネットの性質であるが、われわれがインターネットというとき、通常は誰でも接続でき、そこのリソースを利用することができる公共ネットワークとしてのインターネットを指すことが多い。個人や企業がインターネットを利用したい場合は、公共のインターネットに通じる接続ポイントが必要で、これを提供するのがISP(Internet Service Provider)である。

【参考文献】

村井純 (1995) 『インターネット』 岩波書店