調整メカニズムの再構築

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  組織内や企業間で複雑な調整が必要とされるとき、その情報処理負荷に対処する方法は、調整能力を増強することと、調整の必要性を削減することがある(Galbraith 1973)。一般に、ITによる情報処理能力の爆発的な向上は調整能力を高めているといえよう。しかしながら、見落とされがちな点が2つある。

  第1に、情報ははじめからそれがどのように解釈されるべきかが決まっているわけではなく、人と人との間でやりとりがなされるうちに意味が定まっていくものである。Daft & Lengel(1986)は、情報に多義性がどれだけあるかによって、どのような手段で調整するのが適当かを分析し、意味がはっきりしていない場合はフェース・トゥ・フェースのミーティングなどが適しているとした。しかし、ITが画像や音声、技術データなどをまとめて扱う能力を高めたことによって、異なる主体が互いに意味することを理解しあう基盤となるコンテクスト(文脈)を形成するのにもITを利用することができるようになってきた。ITをどのように使うかは、使い手次第である(ウォルトン1993; Zuboff 1988)。

  第2は、調整能力増強は、しばしば調整の必要性の削減と同時に実行されることである。調整量の必要性削減の中で大きなものに、相互依存性の少ないところでそれぞれの担当者の仕事を分ける(von Hippel 1990)などの、組織の構造やプロセスの変革がある。ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(ハマー・チャンピー1993)はITと無関係にもなしうるが、両者が密接に結び付けられて論じられているのはそのためである。

【参考文献】

Galbraith, J. R. (1973) "Designing Complex Organizations," Addison-Wesley.

Daft, R. L. and R. H. Lengel (1986) "Organizational Information Requirements, Media Richness and Structural Design," Management Science, Vol.32, No.5, 554-571.

ウォルトン, R.E. (1993)『システム構築と組織整合』ダイヤモンド社.

Zuboff, S, (1988) "In the Age of the Smart Machines," Basic Books.

von Hippel, E. (1990) "Task Partitioning: An Innovation Process Variable," Research Policy, Vol. 19, No. 5, pp.407-418.

ハマー, M・J. チャンピー (1993) 『リエンジニアリング革命』日本経済新聞社.