制度の不整合

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  法律や規制など諸制度も技術変化に対応する必要が迫られる分野である。すべての法律や行政の執行システムが影響を受けるといって過言ではない。その一例は、デジタル化、ネットワーク化により著作物のコピーや配布がほとんど無視できるコストで可能になったとき、著作権をどのように考えるかという問題がある。創作者の名誉と財産権を守らなければならない一方で、ネットワーク上の知的なインタラクションや知識の形成が何より価値を生む時代にあって、著作物の使用を規制しすぎてはいけないというジレンマがある。(後述のフリーウェアやシェアウェアでは、自らの著作物が他者にコピーされることを著作者自身がむしろ歓迎するという発想の転換が起こっている。)工業所有権である特許についても、研究開発へのモチベーションを削ぐことなく、いかにすばやく有用な技術を社会に広めるかという従来からの課題が、スピードが何よりも重要な情報産業の発展により一層深刻になっている。また、Eコマース等では技術をいかにビジネスに生かすかが競争の焦点になっているため、技術に付随してビジネスの方法についても特許(Business Method Patent:日本ではビジネスモデル特許と呼ばれる)が認められ始めたことが、企業戦略にとって重要な意味を持つようになっている。[ビジネスモデル特許については野崎(2000)がわかりやすい。]

  他にも、プライバシーや青少年保護の問題、詐欺や不正侵入などのネット犯罪、Eコマースへの課税、契約の考え方、情報産業に対する独占禁止・競争政策、電子決済と金融政策の関係、規格の決め方、政策形成への市民の参加、教育制度など検討すべき分野は枚挙にいとまがない。[林他(2000)は広範にわたる制度的な諸問題を網羅しており、この分野の入門書として好適である。]

【参考文献】

野崎大進 (2000) 「ビジネス方法特許米国事情と最近の動向」特技懇, No. 213, pp. 34-41.

林紘一郎・牧野二郎・村井純監修(2000)『IT2001―なにが問題か』岩波書店.