3.経済主体のあり方と相互関係の変化
電子市場とインフォメディアリ
Malone et al. (1987) は、インターネットの爆発的な普及が起こる前夜に、ITによって調整コストが下がり、従来は組織内や特定の企業間でおこなわれていた経済活動が特定の企業間に偏らない取引が行われる電子市場にシフトすると予言した。Eコマースという言葉は、(消費者も含む)電子市場に近い意味で使われるとことが多く、インターネットの普及によって個人や組織がアクセスできる相手の範囲が広がり、これが爆発的に開花したことはよく知られているとおりである。
ところで、電子市場が広がると売り手と買い手がダイレクトに結びつくので中間業者(インタメディアリ)が必要なくなるという中抜き現象がおこるだろうという予測もあったが、最近はむしろITを背景にした新しいタイプの中間業者(=インフォメディアリ)の重要性が認知されている。インフォメディアリは、2章で見たように既存のシステムでは足りない何らかの機能を補うものとして存在である。今井・國領(1994)は、「だれもが明確な条件で提供を受けられる商品やサービスの供給を通じて、第三者間の取引を活性化させたり、新しいビジネスを起こす基盤を提供する役割をはたす私的なビジネス」をプラットフォーム・ビジネスと呼び、その機能として取引相手の探索、信用(情報)の提供、経済価値評価、標準取引手順、物流など諸機能の統合を挙げているが、これは2章でみたインターフェースの設計、調整メカニズムの再構築、感情・社会的要因、物理的な世界との統合にややオーバーラップしながら対応している。
【参考文献】
Malone, T.W., J. Yates and R.I. Benjamin (1987) "Electronic Markets and Electronic Hierarchies," Communications of the ACM, Vol. 30, No. 6, pp. 484-497.
今井賢一・國領二郎編 (1994)『プラットフォーム・ビジネス』 情報通信総合研究所.